自動車雑誌ライター「高桑秀典」による突撃インタビュー 4Cラジアルタイヤ最速プロジェクト(RT1)の真意とは?

チャレンジプロジェクト
2017.12.08

●Vol.04

太田)リアのスタビライザーがない4Cは、とにかく地に足がつかないわけですが、この足まわりが一般道では硬く、サーキットでは軟らかいと感じられました。ということで、前後スタビライザーの強化と車高調整式サスペンションを開発することを第一のステップとしました。そして、4Cのタイヤはフロントが17インチ、リアが18インチというのが標準で、オプションとして用意されているフロント18インチ、リア19インチもチョイスできるのですが、フロント17インチ、リア18インチのほうがクルマのキャラクターに合っていると思ったので、そのサイズの強靭軽量な鍛造ホイールも開発することにしました。

高桑)ブレーキは、どうしたのですか?そして、ラジアルタイヤにこだわった理由も教えてください。

太田)4Cはドリルド・ディスク・ローター+対向ブレーキで強力です。ただしリアのほうが早く強く効いてしまう傾向があるので、耐熱温度を高めるとともに制動力の前後バランスの最適化を図るスポーツパッドを開発しました。仕様が異なる数種のブレーキパッドを組み合わせを実際の走行で試しました。サーキットで最速を目指すとなるとSタイヤを履くという選択もあり得ますが、グリップの高いSタイヤに合わせてセッティングすると足が硬くなるので一般道での走行には向かなくなってしまう。その点は、ラジアルだと好都合ですね。アルファロメオ・チャレンジなどのレースでは、やはり上位陣はSタイヤを履いていますが、濡れた路面に極端に弱く、路面冷間時のグリップもよくないので、1周目のアクシデントが多かったりします。TEZZOではレーシングカーを造っているわけではないので、一般道でも快適で、サーキットも走れるという二律背反の要素を取り入れています。ラジアルタイヤにすることでSタイヤのネガティブな要素を解決することができます。クルマ自体の速さで上回ることができれば、Sタイヤ勢に対抗できるというストーリーの面白さもあると思います。それにラジアルタイヤを履くということは公道走行も主体としているということで、クルマ作りにおいて保安基準を守らなければならないという自制心にもつながります。様々なメリットがあるわけです。

高桑)ただ単に速くなりましたよ、というのではなく、実際にどのぐらい速くなったのかを発表する場として、今後もレース形式走行会やタイムアタック・イベントにエントリーして、ロータスをはじめとする他車との比較を続けていただければと思いました。サーキットにおいて突然にオーバーステアになるナーバスな挙動を改善して安心して攻められる、そして一般道において純正を凌駕する乗り心地とラグジュアリー性を手に入れるというコンセプトのもとで「日本で一番速い4Cになる」ことを目指している4Cラジアルタイヤ最速プロジェクト(RT1)に期待します。

終わり。