ALFA ROMEO CHALLENGE 2023 Kanto Rd.3/ABARTH CHALLENGE 2023 Kanto Rd.3にアバルト595コンペティツィオーネが参戦!

TEZZO CARSイベント・オーナーサービスファクトリーチャレンジプロジェクトニュース
2023.07.13

去る7月9日に富士スピードウェイのレーシングコースで開催された「ALFA ROMEO CHALLENGE 2023 Kanto Rd.3/ABARTH CHALLENGE 2023 Kanto Rd.3」にTeam KEEP ON RACING(ジェントルマン・ドライバーのためのモータースポーツクラブ)が参戦。アバルト595コンペティツィオーネを駆るT選手をはじめとするクラブメンバーがタイムアタック枠などでコースインしました。

当日は前回同様の生憎の天候で、雨が強くなったり、弱くなったり、また強くなったりしていました。5月7日の「ALFA ROMEO CHALLENGE 2023 Kanto Rd.2/ABARTH CHALLENGE 2023 Kanto Rd.2」参戦時からアバルト595コンペティツィオーネはフロントにネガティブキャンバーをつけられるようにし、FF特有のアンダーステアを消す方向のセッティングにしました。一般的にネガキャンにするとターンイン時の回頭性がよくなり、路面がドライのときに明らかな効果を生みますが、ウェットコンディションにおいてもアドバンテージポイントになることが分かりました。

そして、前回からタイヤをブリヂストン POTENZA RE-71RSにしましたが、1周目からグリップが始まることを確認できました。冷間時や雨の場合、普通はコースイン直後およびタイヤが温まるまではグリップが上がってこないものですが、RE-71RSは、いきなりグリップし始め、終盤まで安定して走れました。

タイムアタックの最後のほうで雨が上がり始め、コースの水浸しも解消されてきたのでタイムが上がってきましたが、このタイミングでタイヤの温度が上がったと思ったアバルト595コンペティツィオーネのT選手はワンチャンを狙ってタイムアタックを敢行。一度タイヤをクールダウンしてからのタイムアタックで、雨にもかかわらず2分14秒という好タイムをマークしました。

FFの挙動といえばアンダーステアですが、今回の走行で改めて分かったのは、ホイールベースが短いアバルト595はリアが滑るとオーバーステアになり、特に雨の高速コーナーで、その挙動が起きがちということです。トリッキーなところがあるわけですが、ブリヂストン POTENZA RE-71RSの安定したグリップが安心感につながり、フロントにネガキャンをつけたことにより、ハンドルを大きく切らなくてよくなったので、オーバーステアが出たときにより対処しやすくなりました。

富士スピードウェイの100Rという高速コーナーは、路面がドライであっても、どうしてもタイヤが滑るのですが、ウェットコンディション時のオーバーステアを軽減できるネガキャン+RE-71RSで入っていけば、ドライ時の100Rでもコントロールしやすくなるはずです。もちろん、低速コーナーでも乗りやすくなるでしょう。

ウェットコンディション時はドライ時と違って安心して走れることがいいタイムにつながります。走りながら、おっとっと、っとやってしまったり、タイヤを滑らせてしまうと対処する時間が必要になるのでタイムが落ちるわけです。次はオーバーステアを消すためにリアの車高を下げようと思っています。そして、リアスポイラーにリップを付けると高速コーナーでさらに安定するはずなので、それも施工する予定です。

そういえば、前々回ぐらいの参戦時から装着したインタークーラーも効果がありました。7月9日の富士スピードウェイは湿度が90%以上あり、エンジンルーム内に熱がこもりやすかったのですが、インタークーラーの冷却効率をアップしたことにより、ストレートスピードが速く、タイムアップにつながりました。

ちなみに、アバルト595コンペティツィオーネのようなターボエンジン車は、ターボチャージャーで加圧した空気をエンジンに送っていますが、吸気に圧力がかかっているので温度が高くなってしまっています。空気をエンジンに入れる前に冷却しておかなければ、燃焼(燃費)効率やエンジンのパワーが低減し、仕事量と消費されたエネルギーとの比率が悪くなります。そこで吸気温度を下げるための仕組みであるインタークーラーが活躍するわけですが、簡単に説明するとコンプレッサーから入ってきた空気を冷やし、タービンに送るのがインタークーラーの役目ということです。

既述したように、一度クールダウンしてからのタイムアタックで、雨にもかかわらず2分14秒という好タイムをマークしましたが、タイヤの表面温度を冷やすためだけではなく、エンジンの温度を下げることも狙っていました。DTT ECUチューン(Digi-Tec by TEZZO)+インタークーラーの効率化(よりフレッシュエアが当たるようにしている)+横滑り防止装置のカットも好タイムにつながったといえるでしょう。

アバルト595コンペティツィオーネにさまざまな仕様変更を実施した後、まだドライコンディションで走っていないので、どうなるか楽しみです。ビースポーツ ロードスター・マスターズ参戦時に乗っているT選手のマツダ・ロードスターNR-Aは調整幅が少ないのですが、アルチャレ参戦時に乗っているアバルト595コンペティツィオーネは調整幅が広く、チューニングの効果が如実にあらわれる点が面白いです。T選手は現役のレーサーだったときに開発ドライバーも務めていましたが、そのときの経験を活かすことができています。アルチャレには、ビースポーツ ロードスター・マスターズとは異なる魅力があるといえるでしょう。

T選手が駆っているアバルト595コンペティツィオーネはTEZZOのデモカーで、同社が開発したパーツをまずこのクルマに組み込んでいます。Team KEEP ON RACINGのメンバーと「今回はLSDを入れた。車高調を入れた。走ってみたら、挙動がこういう風に変わった」といったことを話しながらアルチャレを楽しんでおり、クラブメンバーの愛機にも「今回はLSD、今回は車高調」といった感じで、デモカーでタイムアップにつながったチューニングパーツを順次組みつけ、少しずつ進化しています。アバルト595は、次は、こうしたい、こうしよう、と思えるクルマなので、これからも飽きないでしょう。

文&写真:高桑秀典