日産リーフ・チャンピオンレース 今季第3戦レポート by 太田哲也氏

イベント・オーナーチャレンジプロジェクトニュース
2019.09.04

◎はじめに

EV(電気自動車)時代の本格到来に向け、社内にEV事業部を発足させたTEZZOでは、近い将来により一般化するであろうEVモータースポーツを見据えたデベロップメントを目的として、日産リーフ・ワンメイク・スプリントレース・シリーズにチャレンジしています。レースに参戦するとそのクルマの素性がよく分かるため、サーキットで実践的なノウハウを集めることで、それらのデータが将来TEZZOがEVスポーツカーを造る際に役立つわけです。

日産リーフだけのワンメイク・スプリントレース・シリーズとは、JEV(一般社団法人 日本電動自動車振興会)が主催している新旧リーフが混走する『日産リーフ・チャンピオンレース(LCR)』と呼ばれるEVプロダクションカーレースのことです。JAFの国内格式レースに準拠して運営されています。


自動車評論家/レーシングドライバーの太田哲也氏が昨年の9月22日に筑波サーキットで開催された同レースの第3戦を制し、今季第1戦(3月23日)で総合2位となり、続く第2戦(5月25日)で再び総合優勝したことは既報のとおりです。

今回は、去る9月1日に開催された今季第3戦のレポートをお伝えします。下記が太田氏のコメントです。「第2戦は5月開催のレースでしたが、残り2周でセーフモードに入ってしまいました。しかし今回は9月1日のレースだったので、よりバッテリーに厳しさが予想されました。そこで予選を1周のアタックだけにとどめました。計測に入る直前の最終コーナーもゆっくり走り、極力バッテリーの温度を上げないようにしたわけですが、当然タイヤも冷たいままでグリップしなかったので、筑波サーキットのダンロップ・コーナーのところで横滑り防止の電子制御が効いてしまい、タイムロスになってしまいました。ちなみに、前回総合2位だった選手が今回から高性能/大容量バッテリーを積んだハイパフォーマンスモデルのリーフe+(イープラス)で参戦するようになり、パッテリーの容量アップとパワーアップの恩恵でバッテリー温度を低く保ったまま走行できるリーフe+のアドバンテージを活かし、予選1位を獲得しました。我々のチームは、インターバルのときにクーラーや氷といった冷却装置を使って35℃だったバッテリーの温度を25℃まで下げ、決勝レースに臨みました。決勝レースでは多少加速がよくなるeモードをセレクトしてスタートしました。しかし、リーフe+とのパワー差は歴然としていて、1コーナーでは並んだものの、その後は引き離されてしまいました。途中でバッテリーの温度上昇を抑えるため、Dモードで2位をキープしたまま周回しましたが、残り2周でバッテリーの温度が54℃を超え、セーフモードに入ったのでパワーダウンし、1周のラップタイムが4~5秒も遅くなりました。最終ラップの最終コーナーで後続のクルマに追いつかれましたが、なんとか1秒差で逃げ切ることができました。今回のレースでは、高性能/大容量バッテリーを積んでいるリーフe+が優位さが際立ちました。レースに限らず、市販車も、結局、高性能/大容量バッテリーを積むのが正解なのかと思いました。今後、EVがどういう方向に進むのか興味津々です。EVプロダクションカーレースに参戦することで、EV全体の流れを占うことができるので、今後も参戦するつもりです」。

文:高桑秀典