太田哲也氏が『日産リーフ・チャンピオンレース』の今季第2戦で見事総合優勝

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2019.06.06

EV(電気自動車)時代の本格到来に向け、社内にEV事業部を発足させたTEZZOでは、近い将来により一般化するであろうEVモータースポーツを見据えたデベロップメントを目的として、日産リーフだけのワンメイク・スプリントレース・シリーズにチャレンジしています。レースに参戦するとそのクルマの素性がよく分かるため、サーキットで実践的なノウハウを集めることで、それらのデータが将来TEZZOがEVスポーツカーを造る際に役立つわけです。

日産リーフだけのワンメイク・スプリントレース・シリーズとは、JEV(一般社団法人 日本電動自動車振興会)が主催している新旧リーフが混走する『日産リーフ・チャンピオンレース(LCR)』と呼ばれるEVプロダクションカーレースのことです。JAFの国内格式レースに準拠して運営されています。

昨年の9月22日(土)に筑波サーキットで開催された同レースの第3戦を制し、今年度の第1戦(2019年3月23日開催/筑波サーキット)でも総合2位となった自動車評論家/レーシングドライバーの太田哲也氏は、去る5月25日の今季第2戦では見事総合優勝しました。

太田氏によると「EVプロダクションカーのレースは、電欠よりもバッテリーの温度が上がることのほうが問題になります。バッテリーの温度が55~56℃ぐらいになるとセーフモードに入ってしまい、著しくパワーダウンします。3月の第1戦だけでなく、5月の第2戦も結局最後にセーフモードになってしまいましたが、今回の第2戦は予選のアタックを2周だけとし、バッテリーの温度を上げないようにしました。予選の結果は2位でした。第2戦は5月にもかかわらず、路面の温度が36℃ぐらいになる暑さだったので、ウォッシャー液のポンプを活用して造ったバッテリーケースの冷却装置を活用しました。フォーミュラEはドライアイスを冷媒として使っていますが、我々は氷でバッテリーケースを冷やしました。予選が終わったときにバッテリーの温度が38℃ぐらいまで上がりましたが、決勝レースの前に冷却装置を使って25℃まで下げることができました。これまでの決勝レースでは、アクセルを全開にしないでセーブして走っていましたが、それでも結局セーフモードに入っていたのですね。決勝レースがスタートする前にバッテリーの温度を下げることができた今回は作戦を変更し、最初にスパートしてトップに立ち、逃げ切る、というレースプランにしました。なお、決勝は7周です。第1コーナーでは抜けなかったので、ダンロップの奥のヘアピンで並走して予選1位のクルマを抜いて、そこからアクセル全開で予選よりも速いラップタイムで走って、後続車を引き離しました。後続車は、こちらがセーフモードに入るのを待っていたようで、スピードを調整していたこともあり、ストレート一本ぶん先行することができました。5周目でバッテリーの温度が40℃を超えたのでパワーダウンし、1周のラップタイムが5秒も遅くなり、最終ラップで完全セーフモードに入ってしまい大幅にスピードダウン。筑波サーキットの長いバックストレートで後続車に詰め寄られました。最終コーナーで抜かれると思いましたが、2位のクルマも最後の最後でセーフモードに入ったので1.660秒差で逃げ切ることができ、総合優勝することができました」とのことです。なお、バッテリーの温度が上がりにくい旧型リーフが終盤に怒涛の勢いで追い上げてくることもあり、EVプロダクションカーレースは非常に頭を使う面白い展開となっているそうです。

「昔は、GCやトップフォーミュラでは1周しか使えない予選用のQFタイヤというものがありましたが、バッテリーの温度を上げたくないので予選を1周で終わらせる必要があるEVプロダクションカーレースも往時のレースに近い緊張感があります。決勝レースも戦略が大事なので、ドライバーはもちろん、観ているほうも面白いと思います。実況中継が大いに盛り上がっていました」と太田氏は語ってくれました。