太田哲也氏が新型リーフでNクラスにエントリーしてSタイヤ勢を相手に見事総合優勝

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2018.10.03

皆さんは、日産リーフだけのワンメイク・スプリントレース・シリーズが実施されていることをご存知でしょうか?

JEV(一般社団法人 日本電動自動車振興会)が主催している、新旧リーフが混走する『日産リーフ・チャンピオンレース(LCR)』と呼ばれるEVプロダクションカーレースが
それで、市販ラジアルタイヤを履いたノーマルクラスのNクラスとSタイヤを履いてもOKなチューニングクラスのSクラス(旧型リーフが多い)というクラス分けになっています。

去る9月22日(土)に筑波サーキットで開催された第3戦に自動車評論家/レーシングドライバーの太田哲也氏が参戦しましたが(EVレースに対する個人的な興味と、電動自動車を広める活動に賛同し、太田氏はLCRに参戦しているそうです)、プロドライブTEZZO仕様鍛造アルミホイール GC-05R for 日産 リーフに、サーキットのあらゆるシーンでハイグリップを発揮しつつ、一般道でもゴツゴツしないオールマイティなストリート・ラジアル『POTENZA RE-71R』をセットした新型リーフでNクラスにエントリーしてSタイヤ勢を相手に見事総合優勝しました。

POTENZA RE-71Rは低温からグリップを発揮する特性なので、ウォームアップランがあるプロのレースとは違い、いきなりスタートすることが多いアマチュアレースにおいてもラジアルタイヤのアドバンテージを発揮できます。新型リーフはタイヤが18インチなので、軽量のプロドライブTEZZO仕様鍛造アルミホイール GC-05R for 日産 リーフのよさも活き、見た目も凄みがあってよかったと思います。

今回で2回目の参戦となった太田氏によると「当レースは、ただ単に速さだけを追求するのではなく、さまざまな要素を複合的に考えながら走らないと勝つことができません。頭を使うレースなんです。バッテリーの温度を上げないようにするため、アクセルを極力全開にしないようにしながらいかに走るかが重要です」とのことで、前戦は予選で1位を獲得したものの、決勝で最初から後続車を引き離す勢いで逃げたら3周目ぐらいからバッテリーの温度が上がり、セーフモードに入ってスローダウンし、最終ラップで後続車に抜かれて、結局、総合3位でレースを終えました。

新型リーフ・ニスモ(=出力が上がったので、バッテリーの温度も上がりがち)のデビュー戦となった9月22日のレースでは、前戦の反省を踏まえ、路面が濡れていてコースインするタイミングが難しかった予選(全20分)はできるだけ周回を重ねないようにし、開始10分後に出て、1周目はゆっくり走行。その後の2周をタイムアタックに費やし、3周目にバッテリーの温度が上がってパワーダウンしましたが、路面が乾いてきたので見事ポールポジションをゲットしました。ちなみに、主催者側もバッテリーの温度が上がらないように開催時間を熟考していて、予選は早朝の7:30から実施。決勝も涼しくなった夕方に行っています。

7周で争われた決勝では、スタート直後から後続車を引き離すことなく、インフィールド区間でバックミラーを見ながら巧みに2番手以降が前に出にくいラインで走り、外周ではアクセルを少しだけ強く踏みつつ、後続車とのギャップを調整しながら走行しました。さすがに5周目からバッテリーの温度が上がり始めましたが、インフィールド区間でさらにアクセルを抜いて走り、後続車を引き連れながら総合1位でゴールしたわけです。

これぞEVレース!という展開だったといえますが、燃費をよくするために早めにアクセルを抜くガソリン車とは異なり、リーフはアクセルを戻すと回生ブレーキがかかり、バッテリーの温度が上がってしまうため、パーシャル状態を上手く使いながら走る必要があります。今回は、そのあたりのテクニックも心がけながら走りました。そういったことから「EVレースは頭を使うレースである」と評したくなるわけです。

現行リーフは、バッテリーをフロアに積んでいるため低重心で、FFですがバランスがよく、アンダーステアが出にくくて面白いクルマだといえます。筑波サーキットをハーフウェットで1分13秒台で走れる実力の持ち主です(決勝レースではバトルしながらコンスタントに1分15~16秒台で走行しました)。

JEV(一般社団法人 日本電動自動車振興会)では、レンタカーも用意しているので、問い合わせてみてはいかがでしょうか。また、EV体験走行会もあるので、こちらも試してみることで、EVが実は趣味性が高く、楽しいクルマであることを実感できるでしょう。

文:高桑秀典