TEZZO アバルト124スパイダー RT1プロジェクト(連載/その3)
TEZZO CARS/製品・開発物語
2019.08.28
去る8月25日に筑波サーキットにて「Alfa Romeo Challenge 2019 Kanto Rd.3&Tohoku Rd.2」が開催され、順調にRT1プロジェクトが進行しているTEZZO CARSのデモカー「TEZZO アバルト124スパイダー」がテスト走行を兼ねて参戦。
RT1プロジェクトの「RT1」は、サーキットでの速さをラジアルタイヤ(一般公道タイヤ)を前提として突き詰めたTEZZO CARSのデモカー「RT1(ラジアル・タイヤ・ナンバー1)」と基本的に同じ仕様であることを意味しています。
ラジアルタイヤでの走行を前提としているので、速さを追求しているものの、レース専用車にはせず、街乗り時の快適さや運転のしやすさも追い求めています。そのため、RT1プロジェクトを進める中で、今回のアルチャレ参戦時にはリアサスペンションをやわらかくし、後輪のトラクションが増すようにしました。ターボエンジンを搭載しているアバルト124スパイダーは、パワーユニットの特性でコーナリング中に急にターボが効いて、テールを振り出してしまうことがあります。一般のユーザーは、そこでアクセルを戻してしまいがちになりますが、リアサスペンションをやわらかくして、トラクション性を向上させたことでTEZZO アバルト124スパイダーは足まわりの懐が深くなっているので、トラクションがかかり、なおかつ乗り心地がよくなった上でタイム向上が望めます。まさに一挙三得だといえます。
ちなみに、事前に行なった袖ヶ浦フォレストレースウェイでのテストでは、リアのトラクションが上がったものの、コーナリング中にフロントタイヤが定常円のラインをキープできないアンダーステアになってしまいました。そのため、アルチャレ参戦時の筑波サーキットでは、フロントの車高を下げ、キャンバー角も増やすことで前輪のグリップ力を上げる方向にしました。その効果は確実に得られて、コーナリング中にアンダーステアが出ず、タイヤもショルダーだけが減るようなことがなく、トレッド全面を有効に使えるようになりました。
8月25日に開催されたということで、アルチャレの日は暑かったので吸気温度が上がり、熱い吸気に弱いマルチエアエンジンの特性で大きくパワーダウンしてしまいました。今後は吸気の冷却対策を施す予定です。また、フロントのアンダーパネルの形状を変更し、よりダウンフォースが出るような試作を続けています。
文:高桑秀典