TEZZO アバルト 124スパイダー RT1に試乗(撮影&執筆者:フリーランスエディター/ライター 高桑秀典)

TEZZO CARSインプレッション
2020.04.22

そもそもアバルト 124スパイダーは、マツダ ロードスターをベースに開発されていますが、単にボディの意匠を変更しただけのクルマではありません。エンジンはロードスター用の1.5リッターから自社製の1.4リッターターボに換装されて大幅にパワーアップ。足回りに関しても、ロードスターのやわらかくて大きくストロークするセッティングから、ロールを抑え気味にした方向での現代的なスポーツカーのトレンドへと仕様変更され、アバルトならではの走りのキャラクターが与えられています。


オープン2シーターということもあり、サーキットのイメージが希薄なモデルだといえますが、アバルト 124スパイダーは素性がいいため、運転の基礎はもちろん、スポーツドライビングを楽しむ際の絶好の素材となり、なおかつ、安全に学ぶことができます。

そこでTEZZOではワインディングやサーキットを走らないともったいないと考え、デモカーのTEZZO アバルト 124スパイダーを「LXY」のみならず「RT1(ラジアルタイヤ・ナンバー1)」プロジェクトにおいても仕上げています。

改めて説明しておくと、TEZZO CARSが限定生産しているコンプリートカーには、速さと快適性が高い次元でバランスしたスポーツ&ラグジュアリー仕様の「LXY」と、サーキット走行において、より一層の速さを引き出すためのオリジナルパーツを装着した「RT1」という2種類のコンセプトがあります。

TEZZOの基本精神は純正の魅力をさらに高めることにありますが、TEZZO アバルト 124スパイダー RT1プロジェクトでは、機械式LSDを装着し、サーキット走行時に必須となるロールケージもセット。安全面もしっかり対応しています。そして、サーキット走行向けに既存のTEZZO全長調整式車高調キット ver.2 for アバルト124スパイダーを仕様変更し、ブレーキホース(TEZZOオリジナルステンメッシュブレーキホースビニール被覆)を装着。さらに、バケットシートと5点式シートベルトも装着しています。

前回(アバルト TEZZO 595 RT1に試乗)と同じように、今回も自宅に乗って帰り、仕事およびプライベート(もちろん、外出はできるだけ自粛しています)の足として数日間使ってみましたが、シチュエーションを問うことなく、運転が上手くなったような気がしました。

TEZZO アバルト 124スパイダー RT1は、サーキットでの速さを追求しているものの、ラジアルタイヤでの走行を前提としているので、レース専用車にはせず、街乗り時の快適さや運転のしやすさも追い求めています。そのため、アバルト TEZZO 595 RT1同様、大人が乗って日常的に使えるデイリースポーツになっており、総じてスポーティですが全方位的に高品質という点がアドバンテージポイントです。

足まわりの味つけについて説明しておくと、ガチガチの乗り味はTEZZOが嫌うところなので路面からのあたりはやわらかいものの、高速姿勢安定性が非常に高くなっています。つまり、ラグジュアリーな乗り味でありながらも、サーキットを走ったときの扱いやすさまで考えられたセッティングになっているので、公道でもクローズドコースでも狙ったラインを走れるのです。

アルファロメオ 4Cのようなミッドシップ・プレミアムスポーツカーではパフォーマンスが高すぎると思っているドライバーにとって、TEZZO アバルト 124スパイダー RT1は最適のFRスポーツカーです。TEZZO アバルト 124スパイダー RT1は、日常での使用からワインディングやサーキットでの本気モードの走行までをこなせるので、そのようなオールマイティなスポーツカー(車検対応ながらも鋭い吹けあがりとアイドリング時の消音を両立したマフラーの排気音もステキ)が一台あれば楽しいだろうな~とシミジミ思いました。

筆者は、そのボディカラーから「水色号」と呼んでいる1974年式アルファロメオ GT1600ジュニアで袖ヶ浦フォレストレースウェイを2回だけ走ったことがありますが、幅が165サイズの14インチタイヤでは1分40秒を切ることができず、毎回、スポーツ走行枠において“走るシケイン”と化しています。そのため、仕事の足になりつつ、サーキットも臆することなく走れる現代のFRスポーツカーがあったらいいのに、と密かに考えているわけですが、今回の試乗でTEZZO アバルト 124スパイダー RT1がベストチョイスかも?と思い始めています。う~ん、オープン2シーターだから人と荷物が乗らない(載らない)けど欲しいなぁ。ボディカラーは、メタリックブルーにしよう。

☆TEZZOにより開発されたアバルト 124スパイダーの商品説明はコチラ。

https://tezzo-style.ocnk.net/product-group/142

文&写真:高桑秀典